Essay

2013.4.1

『里山のタカ - サシバ』渡辺靖夫

 昨年秋、日頃より猛禽類調査などを共にしている仲間4人でミサゴの識別と生態に関するフィールドガイドを出版しました。このガイドブックで私は識別用の図版を担当しましたが、お蔭様で好評です。
そして現在、その第二弾としましてサシバのフィールドガイドの制作に取り掛かっているところです。
このエッセイが掲載される4月には全国各地よりサシバ飛来の知らせが届いていることでしょう。

 サシバは日本や中国で繁殖し、沖縄や東南アジアで越冬するタカの仲間です。里山の谷戸田などに飛来して、主にヘビやカエルなどの両性爬虫類を餌とし、谷戸田の斜面林のアカマツなどに営巣することが多いようです。
餌資源を水田等に依存しているため近年の中山間農業地域衰退と共に絶滅の危険性が指摘されています。
2006年には環境省の「改訂・日本の絶滅の恐れのある野生生物」にて絶滅危惧Ⅱ類に指定され、現在その保護に向け様々な研究や活動がなされているところです。

私は2010~2012年にかけて、滋賀県湖北地方にて3番のサシバの子育てを調査しました。大きくなっていく雛の姿をイラストにするのが主な目的でした。観察には日々実施している猛禽類調査で培ったノウハウを生かし、細心の注意を払って行いました。
親鳥に気づかれないようにブラインドを使用して行いましたが、繁殖初期の番は特にナーバスで簡単にはさせてもらえません。
うまく成功したとしても生まれて間もない雛は巣の上部から辛うじてチラチラと姿が見える程度、観察には常に苦労が付きまといます。
それでも、少し大きくなった雛達が親鳥の運んできたムカデやカエルなどを奪い合っている姿は微笑ましくもあり、生長したその姿を見たときは嬉しい思いになりました。
 ただ、順調に育っていたが雛が数日間のうちに全て消失してしまうという事が1例ありました。恐らくオオタカなどに捕食されてしまったのでしょう。
悲しい現実に直面し、改めて自然の厳しさを教えられる思いがしました。
 更に、観察には忍耐も必要でした。最大の敵はなんと言っても夏の暑さでしょう。ここ数年の夏の気温上昇を考えてみてください。日陰とはいえ湿度の高い谷戸田の林はではブラインドの中は常に蒸し風呂状態でとても終日入っていられるものではありません。元来暑さには強い私ですが、さすがにこの暑さには閉口しました。時には観察を諦めて早々に退散する日もありました。

 こうした苦労もあり、何とか目的は達成することが出来ました。おまけにちょっと面白い観察結果をご報告させて頂く機会を得ることもできました(山科
鳥類学雑誌第43巻1号125号2011 渡辺靖夫、越山洋三 コガネムシ上科の幼虫を巣上で食べたサシバの観察記録 参照)。
 現在、サシバのイラストは順調に製作中であります。今年の秋ごろには皆様にご紹介出来ればと思っております。

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