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今月のエッセイ

2011.6.1 『再生』佐藤 忠雄


                         

春の連休を待って、震災の見舞いに宮城県の親戚を訪ねて回った。
走り慣れた4号線を目的地に向いながら、周りの景色に目を凝らすが、
屋根に敷かれたブルーシートがところどころ見られる以外それほど
いつもとちがった様子は無い、ところが海側に少し車を走らせると突然
景色が一変した。想像はしていたもののその情景に言葉も出ず、
翌朝、行くたびいつも訪れる散歩コースを
春の穏やかな日射しに包まれながら歩くと、
たらの芽が眩しく輝き
八重桜が満開に咲き誇る、
ウグイスの声は新緑の林に響き渡り、
小さな川の流れもいつもと変わらない
自然の営みを見せてくれる、ほっとさせられる。
どんな事があろうと必ず春はやってくる、
再生し繰り返される。