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2008.4.1 「新会員紹介」 たぐちとしかず


作品のタイトル


 今回、日本理科美術協会に参加する事となりました「たぐちとしかず」といいます。
1967年(昭和42年)、東京都墨田区出身です。
 新東京タワーが建つという事で、最近にわかに脚光を浴びるようになった墨田区ですが東京23区の中では比較的マイナーな区なのではないでしょうか。「昭和が残る町」と紹介される事が多いのでたくさん自然が残っていると思われがちですが、さにあらず。私が通った小学校は当時から校庭もアスファルトで固められていました。そんな環境で育ったため子供の頃に触れ合った動植物も種類が限られており、図鑑に載っているようなスター性のある昆虫などはあこがれの的でした。
 中学生の時、たまたま知った切り絵の魅力に取り付かれ、寝ても覚めても切り絵という数年間を過ごしました。授業中にも切り絵を作っているという入れ込みよう。今考えるとずいぶんと大胆な「内職」があったものです。切り絵のモチーフとしては圧倒的に動植物が多かったと記憶しています。作っても作っても尽きない制作欲求と動植物の多彩さ、多様さが合致したのだと思います。
 高校卒業後、デザイン系専門学校に進学し、商業デザインを専攻。版下という仕事の職人技に憧れて新聞社のデザイン部門に入社しました。グラフ、地図、図版等守備範囲が広い仕事です。ことにグラフの制作枚数は多く、入社以来1万枚は軽く超えているでしょう。
 ペンとインクで制作していた原稿も時代とともにコンピューターに移行しました。今では「Adobe Illustrator」というソフトウエアを中心に使っています。私は細密画を描く際にもこの「Adobe Illustrator」を使います。簡単に言うと「点を打って図形を描き、そこに色をあてはめていく」という方法です。動物の表面を彩る模様から毛筋の一本一本まで全て独立した図形でなくてはなりません。このように手間のかかる描法を選択しているのは…
 ・輪郭がシャープである
 ・他の素材(テキスト、写真、グラフ、地図等)との連携がしやすい
 ・拡大、縮小をする際解像度に左右されない
等の理由によるものです。加えて最近では「Illustratorの描法は切り絵の作り方に方向性が似ている」という事に思い至りました。何かを選択するという事は最終的に「好き」に帰結するようです。
 理科美に入会して、先輩会員の皆さんの話を聞くにつけ動植物に対する造詣の深さに驚いたり、自分の浅学に恥じ入ったりと刺激を受けています。今後、色々と学ばせていただきたく思います。