今月のエッセイ
2011.8.2 『遊歩道』滝波明生


私の住む高島平の歩道のある通りは、それぞれ異なった木の並木道となっている。高島通りはイチョウの
木とベニバナトキワマンサクとかが交互に植えられた並木道で、市場通りはトウカエデの並木、その他サ
クラ並木、ケヤキ並木、クスノキ並木、ナナカマドの並木etc、あるが、この季節(7~9月)に一番目につ
くのがサルスベリの並木通りだ。満開時には、車道と歩道の境界線はピンク色の帯道となり、実に美しい。
サルスベリの幹の樹皮は薄く、剥がれやすく表出した樹肌はスベスベして光沢があり、いかにも名の通り
猿もすべりそうな感じがする。
この花の興味深いところは雄しべが長短2種類あり、花の内側にある多数の短い雄しべの黄色く目立った
花粉は虫を誘い寄せる餌で生殖能力はない。外側にある長く伸び内側に湾曲した6本の雄しべの花粉が虫の
体につき、運んでもらう、といった役割分担していることである。葉のつき方は様々で、対生だったり、互
生だったり、左右2枚ずつ交互に並ぶコクサギ型葉序のものもある。葉は厚く、楕円形で先の尖ったものや
凹んでいるものがあり、葉柄はほとんどないほ程に短い。花は円錐花序で枝先につき、6枚の花弁はフリル
状で、この花を描くのは骨がおれる仕事だ。美しい花だがあまり描きたくない植物のひとつである。
都営三田線西台駅前から高島平駅付近まで、遊歩道のある緑地帯がある。プラタナス、ヒマラヤスギ、ユ
リノキ、ミモザ、カクレミノ、マテバシイ、コナラ、イトザクラ、イロハモミジ、トサミズキ、マンサク、
タチアオイ、コデマリ、カリン、エゴノキ、ムクゲetc、数十種の木が植えられている。私の散歩道のひとつ
で、キジバト、ドバト、スズメに混じってムクドリの群れが餌を啄ばみながら歩き回っている。人が通っても
逃げようとしない。エゴノキは所々の枝先にエゴエゴアブラムシがつくった虫こぶエゴノネコアシの黒くなっ
た残塊をつけ、多数の緑白
色の実をつけている。今年は例年より実りが良くツバキも多数の実をつけ、
カリンも6~8程の(まだ緑色だが)実を多数見ることができた。この夏、緑地内で目立つのはムクゲの花だ。
白やピンクの花とその中心の花底の紅色の斑紋が、濃緑色の中で、きわだって美しく印象深い。