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今月のエッセイ

2007.5.17 「指の数」 松本晶


作品のタイトル


前足も後足も指の数は5本。
これは哺乳類の基本形だが、形態的進化の乏しい原始的な仲間に多いという。
哺乳類の先祖は今の食虫目であるトガリネズミに近い形と大きさだった。
彼らももちろん前後とも5本指だ。
他に主な例を挙げると、霊長目(ただしクモザルやコロブスは手の親指が退化)・ツパイ目・ハネジネズミ目・翼手目・皮翼目・アリクイ、アルマジロの一部・有袋目の一部・ジャコウネコ類・マングース類・イタチ類・クマ類・・・

意外と間違えるのがイヌやネコの仲間の指の数。
前足は5本指、後足は4本指だ(ただしリカオンは手の親指も退化)。
直接触って数えてみてほしい。
ただ、ネコ類の後足には親指の根元の骨の痕跡がわずかに残っている。
きれいさっぱり親指の消えたイヌ類とはやはり進化の仕方が違うんだなぁと感心するところでもある。

蹄を持つ動物たちにも指はちゃんとある。
シカやイノシシ、ウシなんかは前後とも4本。
中でもイノシシは骨の段階からきちんと「指」になっているから面白い。
やはり真っ先に退化するのは親指だ。
じゃあ、キリンやラクダは?ウマやサイは?ゾウなんかはどうだろう?

では最後に齧歯目とウサギ目の指の数。
齧歯目の基本は前足は4本指、後足は5本指。
ウサギ目の基本は前足は5本指、後足は4本指。ネズミやリスと逆である。
しかし、ここでも例外はつきものだ。
モルモットなんかはその代表。
齧歯目は種類も多いしその大きさも様々だから、動物園で例外さんを探してみるのも結構楽しくてヤミツキになることうけあいだ。

 *足と指の基本的説明はこちらをどうぞ。↓
   http://www.geocities.jp/tusu6/hokou.htm